欧米で大ヒットし、今では一般的なゲームジャンルとなった「FPS」(3D ガンシューティング)。
その老舗 id Software が開発した、期待の新作 FPS。
その iPhone 版が「RAGE」と「RAGE HD」です。
RAGE HD の方が、iPad の高解像度や iPhone4 / iPod touch 第四世代の Retina ディスプレイに対応した「高画質バージョン」となっています。
一方、単なる RAGE は低負荷で旧機種でも動作します。
FPS というゲームジャンルが広まったのは、id Software というアメリカのメーカーが「DOOM」というゲームを発売したのが大きなきっかけとなっています。
DOOM は次々と出てくるモンスターを銃で撃ちまくる 3D 視点のシューティングゲームで、その残虐性などが問題視されつつも、アメリカで空前の大ヒットとなりました。
その後、id Software は Quake という後継の FPS を開発、非リアル系の FPS の定番メーカーとなり、さらに DOOM や Quake で使われたシステムの提供も行っています。
その id Software が Quake の後継として開発している注目の FPS が RAGE なのですが・・・
何年もかけて開発しているにも関わらず、なかなか発売には至らず、現時点では 2011 年秋の予定となっているようです。
しかしその RAGE が iPhone / iPod touch のアプリとして登場!
当然のように欧米のゲームサイトでは話題沸騰、一躍注目作となりました。
おそらく本編の RAGE のプロローグ版の形だと思いますが・・・ さすが id Software と言えるだけのクオリティーとなっています。
ゲームの内容は次々出てくるゾンビのような怪物(ミュータント)を銃でガンガン撃ちまくる、DOOM や Quake の流れを汲むガンシューティングとなっています。
ただ、血や肉片が飛び散るシーンが連発される残虐表現の強いゲームで、そのため万人にお勧めできるものではありません。 そう言うのが苦手な方はやらない方が無難です。
しかしこのゲームは荒廃した世界で放映されている「テレビ番組」という設定で、そのためオープニングやゴールは番組のスタジオ。
不気味なゾンビ(ミュータント)と戦う廃墟の中にも、撃つと賞金が貰える「的」や、場違いな「ドル袋」なんかがあったりして、戦闘中に MC の実況が入る事もあります。
「バイオレンスだけどユーモラス」という雰囲気がありますね。
こうした「モンスターを撃ちまくるテレビ番組」という設定のゲームはアメリカには割とあって、その多くが人気作になっています。
映画「バトルランナー」の影響でしょうか?
このゲームでは主人公は自動で前進します。
自分で移動する事はなく、プレイヤーがやるのは出てくる怪物に照準を合わせて撃ちまくるのみ。
ただ、ひっきりなしに敵が出てくるので、かなり忙しいゲームです。
アーケードで大ヒットしたセガの「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」によく似ています。
銃は「ピストル」「マシンガン」「ショットガン」の3つを持っていて、画面左上のボタンをタップすることで切り替えられます。
銃には弾数があり、さらに何発か撃つと「リロード」も必要になります。
リロードは自動で行われますが、画面右上のリロードボタンを押しても任意に行う事ができます。
さらに任意のリロードの際に表示されるバーがベストのタイミングの時に再度ボタンを押すと、リロードが素早く行われて攻撃力も2倍になると言う特殊なシステムがあります。
そして大きな特徴は、左下に「回避ボタン」があること。
これを押すと主人公はサッと身をかわします。 敵が投げてくる石やブロックはこれで回避可能で、さらにタイミングが良ければ敵の殴り攻撃も避けることが出来ます。
この「回避と攻撃」をうまく使う事がゲームのポイントで、単に撃つだけではないのが特徴ですね。
操作性は非常に良く、ドラッグで視点を変える TOUCH 操作と本体の傾きで照準を動かす TILT 操作があるのですが、どちらも違和感なくプレイ出来ます。
TILT でもこれだけプレイしやすいというのは特筆もので、かなり調整したんだろうなと言うのが伺えます。
残念なのは iPhone4 のジャイロに対応していないことですが、TILT の操作性が良いので、ジャイロ未対応なのが気にならない程ですね。
※アップデートでジャイロにも対応しました。
そしてグラフィックのレベルが凄く、緻密な書き込みのハイレベルなグラフィックが非常にスムーズに動きます。
先日紹介した美麗グラフィックの Infinity Blade も凄かったですが、こちらもそれに負けていません。
このゲームの場合、動きが滑らかなのが一番の特徴なので、その凄さは画像ではよく伝わりません・・・
iTunes のスクリーンショットも、「なんでこんな面白くなさそうな画像ばっか掲載してるんだ?」と思います・・・
実際にはもっと綺麗で細かい画面が「ぬるぬる」動きます。
以下は海外の情報サイト Touch Arcade が Youtube で公開しているプレイ動画です。
このゲームは動画でないと、そのグラフィックの凄さが解りませんね。
難点は、ややボリュームがないことでしょうか。
クリアまで 10 分ほどのステージが、3ステージ分しかありません。
だからイージーでやるとすぐに終わってしまいます。
難易度はイージー、ミディアム、ハード、ナイトメアの4段階が選べ、ハード以上だとかなり難しくなりますが、自分で目標を決めないと長く楽しめないかもしれません。
また、1プレイが短時間で終わるゲームにも関わらず、
スコア周りの改善については、今後のアップデートに期待したいところでしょうか。
※アップデートで Game Center に対応、スコアシステムも改善されました。
最初に述べたようにこのアプリには2つのバージョンがあり、HD の方が高解像度対応です。
価格は RAGE が 115 円、RAGE HD が 230 円。
HD 版でも 230 円ですから、話題性とクオリティーを考えると格安だと思います。
ボリュームを考えると妥当なところである気もしますが、グラフィックの作り込みを考えるとやはり安いですね。
残虐表現の強いカジュアル FPS なので、誰にでもオススメできるものではありません。
ただ、期待されていた通りのクオリティーを安価で体験できるアプリですから、こうしたゲームが嫌いでなければ、文句なくオススメです。
・RAGE HD(iTunes が起動します)